健康体操新聞
トレーナー 大森 一史
第2号 2004年1月21日
◎歩く時、走る時。
歩く時、走る時に、ただ闇雲に運動していませんか?“毎日歩いているのに全然効果が出てこない!”という声を良く耳にします。これは、ただ歩いているだけになっている可能性があるのです。せっかく運動するのですから、効果が見えてこないと面白くない!これは誰もが感じることで、目に見える効果が無ければどれだけ意思が強くても続くものではありません。
通販で売られている運動器具のうち、どれが一番効果があるのですか?と聞かれても、まずどんな器具でも続けることが第一なのです。そのためには効果を実感することも大切なことだと思います。そこで、心拍数を測る習慣をつけましょう!
心拍は、オートマチックに制御されているもので、自分の意思で変化させられるものではありません。すなわち、最も良い指標になるのです。強度の強い運動をすれば心拍は早くなりますし、強度の弱い運動であれば安静時と変わらない心拍を刻むのが普通です。ですから運動強度を測るのに、心拍数は手軽で便利な指標となるのです。
まず安静時の脈拍を1分間測ってみましょう!それが第1歩です。次に下の公式に数字を当てはめていって下さい。
(210−年齢)− 1分間安静時心拍数 = 1分間最大心拍数
これが最大心拍数といって、心臓が“これ以上心拍を打てない数”ということになります。極限状態(火事場のクソ力)を発揮している時には最大心拍数を超えることもありますが、基本的にはこの数字を信用します。
次に
1分間最大心拍数 − 1分間安静時脈拍数 = 自分の心臓の可動範囲
この計算で自分の心臓が動くことができる範囲が出てきます。この数字をパーセントすることで、ターゲットが生まれてくる訳です。例えば体脂肪を中心にした運動をターゲットにしたい場合40%から60%、筋力をターゲットにするのであれば60%から80%、心臓や循環器能力をターゲットにするのであれば80%以上となります。
最後に、ここで出てきた数値にもう一度1分間安静時脈拍をプラスすれば、ターゲット脈拍数の出来上がりです。さぁ計算してみましょう!
例)43歳で1分間の安静時脈拍数が75回の人が体脂肪燃焼を目的とした運動をしたい場合のターゲット心拍数。
(210−43歳−75回)×40%+75回=141.8回
と言うことになります。ウオーキング時やジョギング時に141.8回の心拍数を目安にして行えば良いと言う事になります。
しかし実際に運動している時に1分間立ち止まって脈拍を計測していると、脈拍が落ちてしまいます。実際の運動時には、10秒間計測し6倍すれば心拍数も落ちませんし、近似値を得ることが出来るでしょう。後の計算は歩きながら走りながら行えば良いと思います。
このように運動をしていると、まず心拍数に変化が現れてきます。1分間安静時脈拍が少なくなってくるはずです。これは運動によって心臓が鍛えられ、心臓が一回収縮するたびに送り出す血液の量が増えたと思ってください。ですから、出来るだけ頻繁に安静時脈拍を計測することが重要です。また“運動しているのに安静時脈拍が増える!”という場合、今の運動量が多すぎる!ということが考えられ、オーバートレーニングの危険性がありますので、時間を短くするなど調整が必要でしょう。
さて、ターゲット心拍数が算出でき、運動強度はある程度調節可能でしょう。次に重要なのは、運動時間です。強度に低い運動であれば、当然長時間継続可能です。高強度の運動では当然短時間の運動になってしまいます。40〜60%の運動であれば20分以上は継続できると思われます。だいたい体脂肪燃焼に必要な時間は20分以上と言われていますので、それを目安にしていただければ良いと思います。ただ最近の研究では、“分割払いOK”という結果が得られていますので、10分の運動を2回から3回に分割するのも有効な手段と思われます。ただ低強度の運動の場合、望ましいのは“一回20分以上の運動を出来るだけ毎日”ということです。
効果が見え始めると運動は楽しいものです。しかし運動は身体にとってストレスの一部ですから、運動の強度や時間は守って過剰なストレスにならないよう注意しましょう!ただ、ストレスと回復を繰り返すことで身体の強化が起こることは言うまでもありません。各個人の体力に見合った運動内容を継続することが、重要になるでしょう。
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